APFR_Shimokitazawa











APFR_SHIMOKITAZAWA
空間コンセプトの一つであるアジア・中東を主とした異国情緒に加えて、自然・万物の恵みを感じられるような素材を選び、それらによる造作を通して、ブランドのアイデンティティーであるクラフトマンシップへの拘りを体現するような特別な空間作りを行った。
メインの床壁天井には土や砂に加えて部分的に藁や籾殻を混ぜ合わせた左官仕上げを施し、自然の質感を贅沢に感じられる一つの大空間とした。その土壁を彫り込んだシェルフやR壁面によりそのヴォリュームを際立たせている。塗壁材の調合に加えて、コテ押えによる表情の持たせ方にも工夫を凝らし乾燥した質感や反射するような平滑面を感じる奥行きのある仕上げになっている。
大きな古材で作られた迫力のあるセンターテーブルが空間中央に置かれ、作家によって特別に誂えられたテスターグラスが40種以上もの香りと共に並べられる。フレグランスショップとして明快でテナント区画の特徴も活かした大胆で完結(簡潔)なプランニングになっている。その周りを囲うようにスライスした*六方石を床に埋め込み、(*自然の柱状節理によって六角形に採掘される。) 飛石としての和の佇まいに加えて自然界に存在する鉱物・結晶としての普遍的な美しさも要素に加えた。
中東イスラムで見られるようなジオメトリックなパターンにもいくつもの多角形が見られるし仏教でも古来より形に意味を見出し縁起の良いものとされてきた。寺院や礼拝堂に感じられる厳粛で幻想的な要素として、入口の常香炉を思わせる香炉にも八角形を用いた。
目には見えない「香り」を「気」と捉え、換気扇からスピーカーまであらゆる通気口に配慮を配り細かくデザインを施した。商業的なライティングも極力避け、拘りの質感・量感を最優先にした特別な気が流れる空間に仕上がっている。
Usage: fragrance shop
Design/Construction:PHYLE inc.
Date: December, 2021
Location: Shimokigazawa, TOKYO
Floor Area: 46㎡
Link: APFR
Photo: Satoshi Nagare